明治の詩を見てみると、
今のものとだいぶ違っている。

親の留守に、こっそりと意味も
わからず読み耽った大人の本。~
そんな印象だろうか。


「要点は1行で!」
「見た目が9割!」などと、
忙しい社会の要請に
慣れた現代人には何ともまだるっこしく映るが、
それが、情趣というものなのかも。

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夏の日のたそがれ  三木露風

落日の光、森の彼方にあふれ、
むらがれる緑の色、心を刺す。

見よ、何者のおほいなる力か、
我たましひを脅かし、我肉を挑む。

風はあざやかに汽車の過ぎゆくあとに流れ、
淫蕩なる夏の黄昏の鐘、
あゝその響きかゞやき燃ゆる如し―

落日の前にたゞよふ雲あり、
美しき刹那あり、
あゝ生きたる刹那よ、
ほゝゑみ焼かるゝ刹那よ、
自由に滅ばむとする美なる一瞬時よ。