俳句「船団」のブックレビュー(書評)を
書かせてもらうようになってから、以前
ラジオで選曲を担当していた時のような
心地よいプレッシャーと仕事好き精神で
、去年より多くの本に出会えた。

 最近、気にいっているのは、「超訳
世界恋愛詩集」 。
 翻訳といえば上田敏さんだ!
という思い込み(&憧れetc. 私にとっては別格の方) 
があったが、 現代流行っているものにも
素晴らしい作品がたくさんあるから、
決めつけて背をそむけていたのは、もったいなかった。
 
 でも、こなれた超訳を読んで
「やっぱり文語の凛々しさっていいな」
と感じたのも事実。

( そんなこんなで
大掃除がはかどりません。)


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一度でも愛の腕   テオドール・シュトルム

たった一度でも
愛の腕に抱かれたことがあるなら
おまえの人生は
おちぶれ くちはて  うす汚れる ことはない

たった一度でも
愛の腕に抱かれたことがあるなら
おまえの人生が
さげすみ わらわれ 安物になる ことはない

見知らぬ土地で たったひとり 消えるとも
あのくちびるに ふれて感じた 一秒が
ありありと よみがえり
いまでもそこに ふれることができるから
最後までずっと わたしのものなのだから

さよならよりも やわらかな 腕に抱かれて
青いのは空   

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「かのひと  超訳 世界恋愛詩集 」
菅原敏  絵 久保田沙耶 
東京新聞 2017年7月

テオドール・シュトルム
19世紀ドイツの作家・詩人・法律家
ドイツを代表する抒情詩人